性善説と性悪説、ものづくりにおいてはどちらであるべきか?

性善説とは、「人の本性は本来善であるから、努力を惜しまなければ立派な人間になることができる」という孟子の教えです。
これに対して性悪説は、「人は弱い存在であるため、あるがままに放任していると自己中心的になり、周囲に悪い影響を与えることから学問によってこれを抑制しなければならない」という荀子の教えです。

ダグラス・マグレガーが「企業の人間的側面」(1960年)の中で提唱したX理論は「性悪説」、Y理論は「性善説」と捉えることができます。

ほとんどのビジネスの仕組みは性悪説の下に成り立っています。例えばネットショッピングにおける決済手段に後払い(ツケ)がなく口座振替やクレジットカード払いであることや商取引においてあらかじめ契約書を締結することなど、相手の素性を完全に知らない状況では性悪説に基づく考え方が一般的です。

では従業員に対してはどうでしょうか?
あなたの会社の社内規定やルールはどのようになっていますか?
恐らくほとんどの会社は上記と同じように性悪説に基づいたものになっているのではないかと思います。
ある程度はそれで良いと私は思います。会社を経営していくためには内部統制を行い監視をしていくことは必要でしょう。

しかし過度な監視は従業員に対して信頼されていない感覚を持たせてしまいます。

ものづくりにおいて厳しい生産目標を設定し、裁量も与えることなく目標未達の場合にはペナルティを与えることをしていると会社はおかしなことになってしまいます。

ネッツトヨタ南国は皆が嫌がる訪問営業や販売ノルマを廃止する一方、既存顧客へのフォロー活動に注力したことで顧客満足度が向上し、過去最高の販売台数を更新しました。お客様に喜ばれ、販売台数が伸びたことで社員がやりがいを持って仕事に取り組むことができている一例です。

作業服大手で急成長しているワークマンも売り上げ目標もノルマも設定せず、対面販売もしておらず、この方針をFC加盟店や提携メーカーにも展開しております。

ものづくり産業でいえば、かんてんぱぱの伊那食品工業も会社として売上目標、利益目標、生産性等の数字目標は設定していません。にもかかわらず48期連続で増収増益を達成しました。

これらの企業に言えることは目先の利益よりも長期的な視点で従業員のやりがいや幸せにフォーカスして経営している点です。

従業員を信頼して裁量を与え、任せてもすぐに成果となって現れることはなかなかありません。
しかしながらそうすることで従業員は認めてもらえているという実感を得ることができ、やりがいをもって仕事に臨むことでエンゲージメントが生まれ、長期的に見て人と会社が成長していくのです。


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